活動の報告

【18.11.15】「食品の安全・安心シンポジウム ~食物アレルギー~」に参加しました

 
岐阜県の第3期食品安全行動基本計画の重点課題であるリスク・コミニュケーションの取り組みの一環として、11月13日(火)13時30分~16時 岐阜県図書館において食物アレルギーをテーマにシンポジウムが開催されました。平日の午後にもかかわらず約160名の参加でホールが埋まりました。アレルギーのお子さんを持つ若いお母さんの参加が多く、保育園や学校の先生、行政の方も多数みえていました。岐阜県生協連からも参加し、岐阜県の食品安全の取り組み等を学びました。

最初に岐阜県健康福祉部の森岡部長から開会挨拶があり、続いて「正しく知ろう!食物アレルギー」の演題で国立病院機構長良川医療センター部長の金子英雄氏からの基調講演を聴きました。

 

講演の要旨は次のとおりです。

  1. アレルギーが起きるしくみ、原因、アナフィラキシーとは?
  2. 児童生徒のアレルギー疾患有病率、人数、エピペンの所有実態 など
  3. 食物アレルギーの検査や治療法
  4. 食品表示法における加工食品のアレルギー表示
  5. 園・学校での指導管理や留意事項

続いて、岐阜県からの情報提供として

  • 教育委員会(中村係長)
    研修会、対応の手引き・ヒヤリハット事例集 県事業の活用実態
  • 生活衛生課(平岡係長)
    事業者や学校給食の監視対策(立入調査、収去検査、表示監視 等)、食品表示法でのアレルギー表示の新・旧対比、出前講座「食品の安全 知っ得講座」の紹介

などが報告されました。

後半は、事前に出された質問や、講演後に質問表により提出された質問にパネラーが答える形で深めました。(以下、主な質問)

  • アレルギー物質の摂取量と健康影響の関係は?
  • 食品の加熱は効果があるのか?
  • 発酵食品のアレルゲン性は?
  • 年々アレルギー症例が増加している原因は?
  • アレルギー検査における症状の分類は?
  • 学校での、運動後の発症事例は?
  • エピペンの副作用は? 迷った時は使ってもよいのか?
  • 自分の判断で少量ずつ食べてみることは有効か? 可能か?
  • 除去食により年齢とともに改善されているデータはあるか?
  • 学校給食の収去検査の選定基準は?
  • 未就学児を持つ保護者が就学前に準備することは何か?
  • 出前講座はアレルギーの専門家の出講は可能か?  その他

質疑のまとめとして、健康福祉部の佐橋室長から、
「食物アレルギー対策は、アレルギーを持つ人や家族、食品事業者等、行政など多くの関係者で成り立っており、事業者は混入防止や正確な表示等に取り組むこと、消費者はアレルギーの正しい知識を持ち周囲の人に知らせて社会全体の理解をひろげていくことが大事であり、県行政としてそこに役割を果たしたい」と受け止めコメントされました。

最後に、岐阜市保健所の中村所長の挨拶で閉会となりました。
 

感想として

食物アレルギーは命に関わる重要事項であり、食の安全の中でもリスクが高まっている象徴的な分野です。未解明なことも多く不安な部分もたくさんあります。アレルギーを持つ人はもちろん、関わって仕事をされている人たちの大きな悩みであることを感じました。それがこの日の多くの参加人数や質問数の多さ、具体的な質問内容に表れていると感じました。また、児童数の5%が食物アレルギーを持っており、その5%もの子がエピペンを持っていることも驚きでした。

講演や質疑の中では、食品を加熱することでアレルギーを抑える効果が高まることや、エピペンは早く使用しても健康被害には直結しないので迷ったら手遅れになる前に使う方がいいこと、自分の判断だけで少量ずつ摂取する療養法は危険であることなど貴重なことを多く学べました。

生協の組合員さんの中にも関心を持たれている方が多くいらっしゃいます。生協の事業面の対応を着実に行い、リスクコミュニケーションの取り組みを充実していくことが課題です。岐阜県生協連の活動として、これからも食品安全行政への関りを強めていきたいと思います。