活動の報告

「ピースウェーブ2020 inぎふ」が開催されました。【20.9.9】

2020年9月3日(木)、岐阜市司町のきふメディアコスモスにおいて、「ヒバクシャ国際署名をすすめる岐阜県民の会」主催の 「ピースウェーブ2020 inぎふ」が開催され約40人が参加しました。

第3回となる今年はコロナ対策として人数を限定して開催。40名が参加して開催されました。

今回の開催テーマは、核兵器廃絶の願いを若い世代へ「継承」していくことに置き、武蔵大学の学生さんが被爆者等の証言を取材し制作した映像作品「声が世界を動かした」の鑑賞と、戦争体験の継承についてのパネルディスカッションの2部構成で行いました。

安藤さんの開会挨拶。「コロナ社会の中で偏見や差別のひろがりが懸念されているが、こういう時だからこそ人と人とのつながりを強くしていくことが大事です。戦後75年を迎え被爆者の高齢化など核兵器廃絶の活動は重要な局面を迎えています。本日のテーマの「継承」について皆さんと一緒に考える一日にしたいと思います」
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岐阜県民の会代表世話人の安藤征治さんの開会挨拶に続き、「声が世界を動かした」DVDを鑑賞しました。この作品は、1945年8月の原爆投下から2017年7月7日国連総会で核兵器廃絶条約が採択されるまでの日本被爆者団体協議会(日本被団協)の足跡を、武蔵大学の学生さんたちが被爆者や関係者からお話を伺ったり、当時の国民法廷の様子の再現劇などが描かれています。核兵器の廃絶を願う人々の声がどのように世界を動かしてきたのかがリアルに分かりやすく伝わる内容でした。



パネルディスカッションの様子。(左)竹田さん (中)宇留野さん (右)木戸さん

休憩を挟んでのパネルディスカッションは、日本被団協事務局長であり岐阜県原爆被爆者の会(岐朋会)事務局長の木戸季市さんをコーディネーターに、「声が世界を動かした」制作に参加された工藤健さん(オンラインでの参加)、岐阜県保険医協会会長の竹田智雄さん、新日本婦人の会岐阜支部事務局長の宇留野理恵さんをパネリストに迎えそれぞれの立場から各兵器廃絶への思いや取り組み等を紹介していただきました。

映像作品を制作した学生さんを代表し、工藤さんにオンラインで参加していただきました。
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●工藤健さん
実際に取材に行き生の資料を見たり生の声を聞いたりした時の衝撃はものすごく大きかった。被爆者が受けた差別や偏見の大きさについてメンバーと話し合いました。
作品の中では国民法廷に力を入れました。被爆者が受けた理不尽な扱いをどうしたら自分たちが伝えられるかと悩み、自分たちがわかる言葉をセリフに置き換えて伝えるようにしました。
学校では戦争が起きた背景や実態について、限られた文字だけでなくもっと具体的に教えてほしい。それが若い世代が戦争について学べるきっかけになると思います。
自分たちができることとして、まず家族や身近な人に伝えていくことから始めたいと思いました。小さな声を大切に伝えていきたいと思います。

竹田さんからは保険医協会の活動などの報告がありました。
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●竹田智雄さん
岐阜県保険医協会は「平和なくして社会保障の充実なし」の思いからヒバクシャ国際署名に取り組んできました。最終的には6,000筆に届く見通しとなっています。
広島、長崎への原爆投下時の対応により、大量破壊兵器や放射線障害の恐ろしさに対して医学は無力であることを思い知らさせました。であれば予防することを医師を医師の務めとして、全国で多くの医師・医学者が核兵器廃絶の運動に参加しています。
核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のDBOB(核兵器にお金を貸すな)の取り組みを私たちも日本において進めています。

宇留野さんには新布陣の会の活動を紹介していただきました。
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●宇留野理恵さん
福岡に生まれ子どもの頃から原水爆禁止世界大会・長崎に参加していました。幼少期で一番印象的だったのは渡辺千恵子さんとの出会いで今でも記憶に残っています。
結婚を機に岐阜に来て、新日本婦人の会の設立目的を知り「活動するならここしかない」と事務局に入りました。毎月の核兵器廃絶の署名活動は今年34年目を迎え、このヒバクシャ国際署名は岐阜支部で12,500筆になりました。
また3年前から始めた原爆パネル展は、役所や公民館・図書館・文化センターなどの公共施設や銀行などにひろがってきました。その他にも市議会への請願活動など、毎月さまざまなところで私たちの活動を行っています。

その後、会場参加者も参加しての意見交流。7人の方から発言がありました。

<安田さん>
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●関市平和委員会の安田さん。
核兵器製造に関わる企業への融資に反対することをきっかけに始まった関市内の金融機関での「原爆の絵」展の報告がありました。どこかに人を集めるだけでなく、人が集まる場所で活動してきたことが成果につながってきたと紹介されました。



<篠田さん>
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●岐阜県保険医協会の篠田さん。
大学時代の「86」パンフレット発刊のクラブ活動時代から、大勢の韓国人被爆者への処遇の低さに疑問を感じていたこと、近年は保険医協会の役員として署名活動に参加しながら、保険医協会としては戦争に反対するという基本的な姿勢を堅持し平和を求める活動を追求していくとの決意をが述べられました。



<堀部さん>
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●コープぎふ理事の堀部さん。
「学校でもっと戦争についいて教えてほしかったという工藤さんのメッセージが印象に残りました。子どもたちに戦争のことを伝承している取り組みがあれば教えてください」と感想と質問が出されました。



<稲垣さん>
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●新日本婦人の会の稲垣さん。
3年前に岐阜県庁ロビーで行った原爆パネル展が県内の市町村役場や学校、金融機関での開催にひろがってきたと報告されました。行政の担当の人や学校の校長先生など窓口の方の理解と協力をいただけたことが力になっていると紹介されました。



<今井さん>
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●岐阜大学で平和学を講義している今井さん。
「学生から被害だけでなく加害のことも学びたかったという声を聞く。岐阜県内にある地下壕の案内もしているが地元からの見学者はいない。子供たちに戦争体験を教えることに抵抗感があるように感じる」と次世代への継承についての課題が話されました。



<大野さん>
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●コープぎふ労働組合の大野さん。
政局が動く中で国防政策の動向を注視していかなければならないし、根強く残る核抑止論を乗り越える運動の進め方を考えていきたいと発言がありました。



コーディネーターの木戸さんから受け止めとまとめがありました。
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●パネルディスカッションの最後に木戸さんから、ヒバクシャ国際署名は2020間での運動として今年9月18日を集約日として進めるが一応年内は受け付けしたい。そしてこの署名運動から各地域でいろいろな活動が生まれてきており、これを今後どのように発展させるかを全国でも検討したいと感想が述べられました。そして、今日の論議からは、事実を知ることが全ての基本であり、学び合うこと・語り合うことをこれからも大切にしたいとまとめがありました。



最後に、岐阜県民の会代表世話人の大坪光樹さんの閉会挨拶で今年のピースウェーブを締めくくりました。

●大坪さんの閉会挨拶 「今日のパネルディスカッションでは、各パネリストの皆さんから心に沁みる力強いお話をたくさん聞くことができました。被爆者の皆さんの長年に渡る貴重な取り組みを、私たちがこの岐阜の地で継承し続けたいと思います。これからもご一緒にお願いします」
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今年は、新型コロナの影響で秋の開催となりました。感染予防対策のため例年のように多くの方に参加していだたくことはできませんでしたが、核兵器のない世界の実現のために、これからも多くの組織や人が連携して活動していくことや、若い世代の人に核兵器廃絶の思いを継承していくことの大切さを参加された皆さんが実感した一日となりました。



司会の岐阜県平和委員会事務局長の加納義久さん。
おつかれさまでした。