活動の報告

「国連原爆展 in Gifu」が開催されました【23.3.10】

岐阜市のご好意により、ぎふメディアコスモス みんなのギャラリーで開催することができました。

2023年3月1日(水)~4日(土)、岐阜県原爆被爆者の会(岐朋会)と岐阜市が共催する「国連原爆展 in Gifu」が、岐阜市のぎふメディアコスモスで開催され、4日間で1,037人の方が来場され被爆の実相や核兵器廃絶運動の歴史、近年の世界情勢などを学びました。

「国連原爆展」は、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)が、第10回核拡散防止条約(NPT)再検討会議に合わせてニューヨークの国連本部で開いたものです。パネルは、日本全国の生活協同組合からの支援金で制作されたもので、昨年8月のニューヨーク開催に続き、日本では11月に東京で初めて開催されました。

(左)入口前には「焼き場に立つ少年」等のパネルを展示しました。   (右)「Ⅰ.破壊と殺戮」コーナーの様子

今回の「国連原爆展 in Gifu」は、日本被団協事務局長であり岐朋会事務局長も務める木戸季市さんが岐阜市の柴橋正直市長と昨年秋に懇談した際に話題になり実現したものです。共催の岐朋会と岐阜市に加え、岐阜市教育委員会、全岐阜県生協連、被爆者の願いを継承する岐阜県民の会が後援して準備を進めてきました。

(左)「Ⅲ.核の脅威」コーナー            (右)「Ⅳ.国連と被爆者のあゆみ」コーナーの様子

開催初日は、朝8時30分にスタッフ38名が集合し、岐阜市役所に前日搬入しておいたパネル(49枚)やその他の展示物を会場に搬入。会場外壁面と会場内壁の4面を「Ⅰ.破壊と殺戮」「Ⅱ.ヒバクシャの生と死」「Ⅲ.核の脅威」「Ⅳ.国連と被爆者のあゆみ」「Ⅴ.核兵器も戦争もない世界へ向かって」の5テーマに分けてパネルを展示しました。あわせて、被爆瓦や被爆手帳、長崎で被爆した「原爆稲」等の実物資料や参考書籍の展示、岐阜県内の被爆者の「被爆の証言」のビデオ上映コーナーも設置されました。

中央の展示台には、「原爆瓦」「被爆者手帳」などの実物資料を展示しました。

設営が終わり、11時40分から会場前にてオープニングセレモニーが行われjました。岐朋会の加田弘子会長、岐阜市の柴橋市長、被爆者の願いを継承する岐阜県民の会の安藤征治代表世話人から挨拶がありました。今回の開催への支援に対する感謝や、これを改めての契機として平和な世界の実現を目指す決意などが述べられました。

(左)書籍の展示コーナー            (右)「被爆の証言」ビデオの上映コーナー

●加田会長の挨拶から

加田弘子会長の挨拶
  • 多くの皆さまに助けられて今日の開催を無事に迎えることができました。市長にもご出席いただきありがとうございます。
  • 私たちの願いである核兵器廃絶と戦争のない平和な世界が、ロシアによるウクライナ侵攻により赤信号が灯っています。テレビ報道を見るたびに私たちの経験を思い出します。二度とあのような苦しみを若い人たちに味わってほしくありません。
  • あれから78年たちました。私たち被爆者もみんな後期高齢者になりましたが、これからも県民の会や生協の皆様に力をいただきながら歩みを進めていきます。

●柴橋市長の挨拶から

柴橋正直市長の挨拶
  • 世界の多くの人が平和を愛し願っているにもかかわらず、現実はロシアのウクライナ侵攻では核兵器を使用するという発言がされ、近隣諸国においても核ミサイル開発が継続されているなどの状況にあります。先輩方から教えられているものの、戦争の悲惨さを知らない世代が世界の大半を占めリーダーとなっている中でそのような発言がされています。
  • 今日こうして岐阜市で国連原爆展を開催していだたきました。経験にまさるものはありませんが、私たち人類は歴史から学ぶことができます。多くの市民の方に改めて平和の大切さを知っていただくともに平和な世界をつくっていく機会になることを心から願っています。

●安藤代表世話人の挨拶から

安藤征治さんの挨拶
  • 今、日ごとに核の脅威が高まり世界の情勢は大変緊迫している時期に、この展示会が開かれるのは大変意義のあることです。
  • 政府はこの世界情勢の中で、国や国民を守るとの言葉の下に軍拡を考えているようですが、その以前に、戦争だけでなく昨今のコロナや大地震等を考えると、「地球を守る」「人間を守る」という考えが真に大事な時期であると考えます。地球上の人間が一致団結して「地球を守る」気持ちに立たない限り子供たちの未来は大変心配されます。
  • 被爆者の願いは、われわれ県民の願い、国民の願いでなければなりません。ぜひ志を一つにして平和を求める仲間を増やしていきたいとの気持ちでいっぱいです。
木戸季市さんから会場内の案内とパネルの説明

続いて、会場内を巡りながら木戸さんからパネルの説明を受け、「国連原爆展 in Gifu」が始まりました。ぎふメディアコスモスは、岐阜市立中央図書館も併設されており、幅広い年代の方が多く訪れる施設です。事前に「広報ぎふ」や「週刊コープぎふ」の他にも、新聞やチラシ・ホームページで告知を行った他に、初日の模様がテレビニュースや新聞で報道されたこともあって、4日間ほぼ絶え間なく来場がありました。パネルや展示品に見入ったり、岐朋会の方のお話を熱心に聞かれている家族連れの姿も印象的でした。

会場受付近で岐朋会の皆さんが通行者に呼びかけ

また、岐朋会の皆さんも毎日のように会場に来られ、受付対応やロビーで通行者に声をかけたり、来場者に話しかけたり質問に答えたりと精力的に動いてみえました。体力的にも大変だったと思いますが、この原爆展を通して多くの人に被爆者の願いを伝えたいという気迫を感じました。



参加アンケートも300枚近く寄せられました。(一部抜粋)

幅広い年代の方からアンケートが寄せられました。

●写真を見て悲しいと思った。せんそうだといろんなことが、かわってしまうことがわかった。だからぜったいいけないと思った。(9才)
●学校で習った知識に加えて、さらに深いところまで知ることができてよかった。コロナの関係で、まだ被爆地に行けていないので、必ずいつか行って原爆ドームなど自分の目で確かめたい。(10代)
●若い世代が、これからの原子力の平和的活用について考えなければならないと思った。また、核兵器のない平和な世界を作っていくことがヒバクシャたちへのつぐないになるのではないかと思った。(20代)
●子どもに原爆のおそろしさ、戦争をなぜしてはいけないのかを知る良い機会となりました。私も辛い気持ちになりましたが、目をそむけてはいけないと感じました。また開催していただきたいです。貴重な機会をありがとうございました。(30代)

●目を覆いたくなる写真、これが現実だったと信じたくない写真に、本当に二度と戦争は起こしてはいけないと心から思った。世界中の人が、この被曝した人が身内だったら…と想像したら、絶対核はだめだ、原子力はダメだと思うとおもう。想像力がたりない。そしてみんな自分さえ…という欲。お金にまみれてよからぬ方向に走っていきそうな世の中でこわい…と思う。どうか、世の中、みんなが笑って幸せに暮らせるように。一人一人が考えてほしいことだと思った。
(40代)
●本当の戦争の悲惨さをしっかりと次世代に伝えるべきだと思う。オブラートに包んでいては大切な事が伝わらない。現実をしっかりと見ていきたいと思う。(50代)
●被爆者の方々の写真や文章を見て、その方々の人生を思うと悲しくなりました。地球上に核はあってはいけないと心から思います。広島の原爆資料館も訪問したいと思います。(50代)

子どもさんにも貴重な体験になったと思います。

●今まで見た事もない悲惨な写真を見てショックを受けました。原爆がこんなに人々を苦しめるものと、核保有国の元首たちは知っているのでしょうか。どう書いていいのかわからないくらい衝撃を受けました。(60代)
●国連原爆展が開かれたこと、大変嬉しく思います。若い世代の方も観てくださり、意義を感じます。前座さんの「たたかいがにんげんをつくる」のことば、胸に深くきざみました。ありがとうございました。(60代)
●私達は、学校で何を教えてもらったのか思い出すことができない。一番大切な近代、現代は時間切れで、スーツと通り抜けた感じです。無関心でいられたのが不思議です。ここに来て、世界戦争になる可能性が核にひめられていると感じ、NOと言わなくてはという思いを強くしました。子供達にも伝えなくては(70代)
●被爆者の木戸様に説明して頂き、生の声が聞けて本当に良かったです。写真展を観るのとお話を聞くのとでは、全く大きさが違います。もっと生の声を多くの人に聞いてもらう事が大切と思います。(70代)
●核を持っていないと、又は持っているから戦争には巻き込まれないはずだという理由そのものが偏っている。核対核では使わなくても真の平和は来ない。(80代)
●世界では今にでも核が使用されそうな戦争の終わりが見えなく恐ろしいことです。太平洋戦争で家を焼かれた年代の私達です。軍備を増やすことは抑止力になりません。戦争に巻き込まれてしまいます。何とか外交で平和を取り戻してほしいです。(80代)
●全ての兵器をなくさねば、最後は核兵器に行きつく事になる。世界の平和のため、全ての兵器をなくし、話し合いを。(90代)

(左)取材を受ける加田会長。テレビや新聞で報道されました。(右)通りかかった大学生に説明する木戸さん。

今回の「国連原爆展 in Gifu」の運営には、県連の会員生協や連絡会の参加団体から応援に来ていただきました。岐阜市福祉政策課を始めとして、ご支援いただいた皆さまにあらためてお礼申し上げます。また、準備段階では東京都生協連や日本被団協からも親切に情報提供いただきました。ありがとうございました。そして、他県の生協や被爆者団体の方も見にていただきましたので、この「国連原爆展 」がこれから全国各地にひろがっていくことを願います。

■おまけ ~会場設営と後片付けの様子

パネルのサイズが十数種類もあったので運搬や展示には苦労しました。主催者および後援団体からたくさんの方が駆けつけてくださいました。貴重なパネルの取扱いを最新の注意を払い作業していただき、ありがとうございました。