活動の報告

被爆者の願いを継承する岐阜県民の会「第6回運営会議」が開催されました【23.7.20】

2023年7月11日(火)、岐阜市のハートフルスクエアーGにおいて、被爆者の願いを継承する岐阜県民の会「第6回運営会議」が18名の出席で開催されました。

「被爆者の願いを継承する岐阜県民の会」(略称:継承する岐阜県民の会)は、2020年12月に設立されました。核兵器廃絶を目指し、当面の活動として岐阜県の原爆被爆者の証言を記録すること、また全国的な運動の岐阜県における受け皿として活動しています。会員が集まる運営会議を開催し、進捗状況を確認しこれからの計画を検討しています。

開会にあたり、代表世話人の安藤征治さん、加田弘子さんから挨拶がありました。

●安藤征治さんのご挨拶から

安藤征治さんの開会挨拶

今日はご出席ありがとうございます。また、いつもこうしてきちんと事務局で資料を揃えたり記録を残していただきありがとうございます。こうしたことが非常に大事だと思います。今日も有意義な会になりますよう、よろしくお願いします。



●加田弘子さんのご挨拶から

加田弘子さんの開会挨拶

継承する岐阜県民の会のお力を借りながら岐朋会(岐阜県原爆被爆者の会)は活動しています。先日の署名活動時に「ワシは戦争をしてほしい」「日本は今武器を多く製造しているのだから戦争すればいいんだ」と言われ、「平和」の文字の大切を痛感しました。これからも頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。



●木戸季市さんの情勢報告から

日本被団協の事務局長であり、岐朋会の事務局長でもある木戸季市さんから、情勢報告として、岐阜県における日本被団協の取り組み(岐朋会)、日本被団協が考えていること等についてお話しいただきました。

木戸さん(左)の情勢報告
  • 全国では、運動の担い手がいなくなり、二世も出てこないということで、会の維持が困難になっている被爆者組織があります。被爆者が亡くなったり動けなくなったりしている実態を見れば継続は困難であり解散やむなしとなります。しかし日本被団協の運動は被爆者の運動なのかといえば違います。確かに被爆者が先頭に立ったのは間違いないので、日本被団協の運動は被爆者の運動と間違えられたのは致し方ないが、これから被爆者がいなくなった後は、会の名称は別として、核兵器を無くす運動、戦争を起こさないようにする運動は続けていかなければならないと考えています。日本被団協だけではなく、生協や原水協などの多くの皆さんと議論して、どのように創り出すかを考えていきたいと思っています。その先駆的な事例がこの「継承する岐阜県民の会」です。
  • 大事なのは、組織をまず考えるのではなく、今求められている運動に対応できる組織を考えることです。日本被団協の運動について学ぶことがまず大事だと考えています。岐朋会は「被爆者とその家族で構成する」というきやくを昨年改正して、「支援する人々」を歓迎することにしました。
  • 昨年、岐阜市内の全ての中学校に日本被団協が作ったパネルと資料を寄贈し感謝状をいただきました。それが縁で岐阜市(長)との距離が縮まり、この7月7日には岐阜市の全中学生・小学生(4~6年生) の生徒20,000人に私の被爆体験を話す機会ができました。話の後でグループ討議して再度質問を出してもらい答える形式で行いました。特に安藤先生のお添え力が大きいということ、また長年の積み重ねにより県民の運動、市民の運動になってきたのではないかと思い感謝しています。

●これからの活動について意見交流しました。

2022年度活動のふりかえりと会計報告を確認したあと、2023年度の計画について意見交流しました。その中では、2023年度も引き続き、「被爆の証言の記録活動」「すべての国に核兵器禁止条約の批准を求める署名運動」に取り組むこと、「会員の呼びかけにより個人会員を増やすこと」が確認されました。
また、新たな提起である「岐朋会と相談し、継承する岐阜県民の会として被爆者運動の継承について、今後の方向性を検討します」が確認されました。

●学習「被爆者の願いを継承する岐阜県民の会の活動への思い」(安藤征治さん)から

今回は、代表世話人として岐阜市の教育委員会や学校への働きかけにご尽力いただき、会員を増やす活動をリードしていただいている安藤征治さんにお話しいただき学習しました。

  • 「継承する岐阜県民の会」が全国でも先駆的な取り組みであると知ると同時に、生協の支援が非常に重要な役割を果たしていることに改めて感謝します。「継承する岐阜県民の会」については、仲間を増やすことがまずは重要だと考え、私自身でも声をかけるよう取り組んでいます。まずは知っていただくことが大事だと思っています。
  • 木戸さんの7月7日のお話に関連して、岐阜市が今年から立ち上げた「岐阜未来図」という授業の3回目に木戸さんに話していただく機会を設けることができました。子どもたちにインパクトを与えられたと思うし、県民の会の活動としてもとても大事なことだと思います。
安藤征治さんのお話
  • 私の安藤征治の「征」は、昭和18年の父親の出征の年に私に名付けられたものです。母が書いた文章によれば、父親は昭和19年7月に戦死し、母は翌20年7月、大空襲で見渡す限りの焼け野原の岐阜市に遺骨を引き取りに来ました。あまりの悲しさに出迎えの人のことは憶えていなかったそうです。この「岐阜も戦場だった」(2005年)の巻末に私が推薦文を執筆しました。「60年前の7月、私の母は一面焼け野原となった岐阜市街地を通り、岐阜駅から長良川を渡って高見の寺まで遺骨を引き取りに歩いた。私は本紙の表紙の人影に母を想う。歴史を正しく後世の人に伝えることは、その時代に生きた人の責務であり、本紙の果たす役割は大きい」 
  • 原爆について想い出すのは、昭和25年小学6年生の時のこと。担任の先生の引率で御嵩富士に登り「原爆許すまじ」を唄ってくれました。今でも憶えていて唄えます。それは原爆が落ちてからわずか10年の頃のことでしたが、そんなことは全く感じていませんでした。
  • 子どもたちに原爆のことを伝えることは非常に大事だと思います。子どもたちにとって原爆は遠い昔の話、遠いところで起きたことだという意識です。自分たちの身近に被爆者の方がこんなにいると話すとびっくりします。その気持ちを持って修学旅行で広島に行ってほしいのです。子どもの頃に聞いた話や見たことは必ず心に残ると思います。私たちは子供に伝えることを大事にしたいと思います。
  • ウクライナ侵攻に関して、子どもたちにアンケートをとらせてもらいました。「そのことについて誰と話すか」という問いについて、親や兄弟姉妹がやはり多かった一方で、友人や先生とがとても少ないという結果になりました。教育現場では話しづらいことかもしれませんが、事実として関心を持たせることは必要だと思います。だから、子どもに伝えるためには先生方に伝えるよう強く働きかけをしていかなければならいと思いました。
  • 化学兵器や核兵器の使用には絶対反対の回答が約8割と多かったですが、「場合によってはやむをえない」との回答が約1/4以上もありました。岐阜新聞の全国世論調査によれば、「10年以内に核兵器が使用される可能性がある」との回答が59%、若年層では66%でした。子どもたちはいつか核兵器が使われると感じているということです。
  • そういうアンケート結果に驚きながら、私たちが進めていく活動が本当に大事なのだと感じました。私一人でできることは少ないし、私たちの活動が核兵器廃絶に直結するということではないけれど、思いを共有する仲間を増やすことは大事だと思います。子供や孫の時代に世界が真に平和であることを願い、文書を書いて、資料もいくつか付けて知人にお配りしました。ただし配ったからすぐに結果が出るわけではなく、ちょっとお話しをすることが大事だと思っています。
  • 「国を守る、国民を守る」という常套句が、今危機感を煽って軍事費の増大や、先ほどの中学生のアンケートにもつながっているのではないかと感じます。国や国民を守るためには、どうしても国家間で諍いが起きますが、今世界にはたとえば気候変動、食料、パンデミック、エネルギーなど重大な問題が多くあります。国を超えて、力を合わせて地球を守る、人間を守る時代になっています。差別なく、一つとなって地球を守るべき時代を迎えていると私は思います。
  • 最近知った外国の方のことをお二人紹介します。【中略】 日本人としての自信や誇りを、もう一度思い出して、世界にひろめていくことが大事だと思います。「発想の転換」というか、日本人は日本人としての平和の道があるような気がします。戦争の悲惨さを伝えていくことも大事ですし、もう一つは平和の素晴らしを伝えていくことも大事です。
  • 今、学校の先生は大変厳しい環境にあり暗いイメージがあり欠員状態ですが、苦しいことだけ前面にだすのではなく、教師としてのやりがい・よろこびを共有していくことで担い手を増やしていくという発想も必要ではないかと思います。また、子育てについても同様で、発想を変えることをもっと言っていかなければならないと思います。
  • この絵本「へいわと戦争」(谷川俊太郎著)は、感動し考えさせられます。少し内容を紹介します。真実の言葉の力を感じます。【朗読】やはり、平和と戦争のことを子どもたちに伝えていくことが大事だと思います。
  • 最後に、憲法9条を守ることの意味について。なぜ憲法9条を守らなければならないのか? その思いの元にあるものを考えたとき、戦時中の悲惨な状況や悲しみを二度と味わいたくないという思いがあるのかもしれませんが、まず日本の加害の事実にも向き合い、二度と繰り返さない、二度と戦争を起こすまいという決意を、もう一度私たちが持たなければならいと考えます。ありがとうございました。

最後に、代表世話人の古川秀昭さん、大坪光樹さんの閉会挨拶がありこの日の会議を終了しました。



●古川秀昭さんの閉会挨拶から 

古川秀昭さん(中)の閉会挨拶

安藤さんのお話に感動しながら、以前「原爆許すまじ」を唄ってくださったのを思い出しました。78年前にとんでもないことがおきたということを忘れず、許されないものは「許すまじ」と言うことが必要です。それにもかかわらず、また、先日の自衛隊訓練での事件など、そのことが繰り返されそうな状況がたくさん起きていることを危惧します。私たちの身の回りがそういう状況になっているのではないかと思います。「~反対」「核兵器廃絶」などの背景にあるのは、争って勝つという意識によるものですが、そうではなく、争うのではなく愛し合うという考えがないと、「なぜ?」という問題は解決しないと思います。今日はありがとうございました。

●大坪光樹さんの閉会挨拶から

大坪光樹さん(中)の閉会挨拶

お話を聴き、戦うよりも愛することの大切さを感じました。今日の新聞に岐阜空襲記事が掲載されており、改めて身近にある戦争のことを知ることが大事だと思いました。先日、食料安全保障の講演を聴きました。世界中で穀物の取り合いが始まっていますが、日本の食料自給力は江戸~明治以降高まっていないと知りました。やはり食料も奪い合うのではなく、海外の国々と仲良くする道を選択できるよう考えていくことが大切だと思います。
今日、問題提起があった、岐朋会の今後のあり方と継承する会の持ち方についても大変重要な提起です。会の維持を目的とするのではなく、運動や取り組みを継承するにはどのようにしていくのかを、私たちの課題として検討していきたいと思います。本日は大変おつかれさまでした。