2024年1月31日(水)、岐阜市のハートフルスクエアーGにおいて、被爆者の願いを継承する岐阜県民の会「第7回運営会議」が会員など24名の出席で開催されました。
「被爆者の願いを継承する岐阜県民の会」(略称:継承する岐阜県民の会)は、2020年12月に設立されました。核兵器廃絶を目指し、岐阜県の原爆被爆者の証言を記録すること、また全国的な運動の岐阜県における受け皿として活動しています。会員が集まる運営会議を開催し、進捗状況を確認しこれからの計画を検討しています。
開会にあたり、代表世話人の安藤征治さん、加田弘子さんから挨拶がありました。安藤さんからは、「私たちは、被爆者の願いを継承すると言っているが、被爆者の方の経験、苦しみ、悲しみを自分の事として汲み取ったうえで、核の恐ろしさを訴えていくことが必要だと思った」
岐朋会会長の加田さんからは、「二度とあんなことは起きてほしくないと願いながら生活している。これからも皆さんのお力をお借りして「二度と被爆者をつくるな」という気持ちで活動していきたい」
と話されました。
今も世界は核兵器廃絶に向けて大きく動いています。
今回の情勢報告・学習は、日本被団協の事務局長であり、岐阜県原爆被爆者の会(岐朋会)の事務局長でもある木戸季市さんから、岐朋会の2023年度活動の様子と、昨年11月に開催された「核兵器禁止条約第2回締約国会議」の参加報告をお聴きして学習しました。
【要旨】
- 第2回締約国会議オープニングのハイレベルセッションや、会議の中でのパネルディスカッションで日本被団協の運動について報告した。連日の会合では熱心に聴き入られ、会議が成功して終わるよう大変な拍手で迎えられた。
- 日本被団協代表委員の箕牧智之さんが、広島市長、長崎市長とともに市長会議などで証言活動を行った。韓国をはじめ世界の核被害者と一堂に会する機会があった。世界の核被害者の実態をきちんと調査し、国際的な核兵器廃絶運動に取り組んでいかなければならない。
- 核兵器禁止条約の締結に際し、いろいろな作業部会で具体的に核兵器を使わないために何をすべきかが議論されてきた。世界の大きな流れは、世界の圧倒的な人々、国連加盟の多くの国々が核兵器禁止条約を実現するための具体的な話し合いをしている。その意味で、この会議に参加して大きな力をいただいた。
その後に質疑・交流を行い様々な意見が出され、木戸さんより回答や説明がありました。
- 国が認めている人たちの他にも多くの被害者がいる。私たち被爆2世も同じで、一緒に活動しようと声をかけても、「メリットがない」「余計に差別されるたけ」と嫌がられるが、「被爆」という発想を「核被害」と言うことはとても大切な発想だと思う。
- よく「ウクライナやパレスチナの戦争を見ていて、国連は機能を果たさないのではないか?」との質問をよく聞くが、それをどう説明されたのか? また締約国会議での日本に対する世界の評価はどうだったか教えてほしい。
- 今月の新聞には、核兵器禁止条約への参加の進捗が鈍っており、核兵器廃絶への動きが鈍化しているのではないかとの論調で書かれていたがどうなのか?
- 今回の締約国会議のテーマとして、核抑止論が破綻としていることを明らかにすることもあったと思うが、どのような話し合いがされたのか教えてほしい
そして、「継承する岐阜県民の会」に参加する思いについても出し合いました。
- この運動の大きさに戸惑うこともあるが、長い歴史の中で遅々として運動が進まない原因はどこにあるのか。若い世代へと交代するための運動に切り替えていった方がよいのではないか。そのためにも、この運動に参加することで政党の色分けがされてしまうようではいけないと思う。
- 高校生の時に原爆ドーム等を見学した時の衝撃は忘れられない。その後も、資料館に行くたびに入るかどうか考えてしまうことがあったが、私自身が高齢になってきていることもあり、残された人生において、たとえ些細なことでも自分も何か触れられたらと思いこの会に参加した。
- 一緒に活動していると、みんなが知らないことをいつもお話ししてくれる。戦争を知らない子供たちに少しでもいいから話をして、興味を持ってほしい、教えてあげたいという気持ち。自分も学ぶためにこの会に参加させてもらっている。
- 私自身は被爆者だが、父や弟は戦争に行っている。被害者と加害者の両方の思いに心が揺れ悩むことも多い。
- 自分から「被爆者です」と話したら驚かれたが、かえって大切にしてくれるたり一緒に行動してくれる人が現れてきた。
- かつては被爆者のことは何も知らなかった。被爆者だと堂々と言えないのは何も知らない私たち周囲の者の責任だと思った。問題意識を持つためには、まず知ることを大切に活動したい。
最後に、代表世話人の古川秀昭さん、大坪光樹さんの閉会挨拶がありこの日の会議を終了しました。古川さんからは、「知人の被爆2世の人の実例として、人や社会とのつながり方など人格まで変えられてしまうのが原爆だと感じた。人間の知恵はそういうものを作り出してしまう恐ろしさがある」と紹介がありました。
大坪さんからは、平和は誰もが願う当たり前のことであり、そこに思想信条は関係ない。若い人がこれから参加できるような平和の取り組みにするためには思想信条を乗り越えた平和の取り組みが必要だし、私たち自身が学びひろげいくことが大事になると思う。と挨拶があり、この日の会議を終了しました。