2024年7月12日(金)、岐阜市のぎふメディアコスモスにおいて、岐阜県協同組合間提携推進協議会(構成団体:JA岐阜中央会、JA全農岐阜、岐阜県酪連、岐阜県生協連)主催の「協同組合を考える集い」が開催され、県内の協同組合と連合会から115名が参加しました。
この集いは、協同組合を取り巻く近年の情勢を確かめ、県内の協同組合の職員が協同組合の価値について理解を深め、相互に学ぶことを目的に1992年から毎年開催されています。
この日は、JA中央会の太田参事の司会で始まり、JA全農岐阜の伊藤副本部長の開会挨拶に続き主催者の紹介がありました。そして、協議会幹事会の座長である岐阜大学の李侖美(イ・ユンミ)准教授から、この「集い」の趣旨、岐阜県の協同組合間提携推進の歩みや主要な取り組み、協議会の構成組織(3協同組合)の組織等について報告がありました。
1991年に「岐阜県第1回協同組合間提携をすすめる準備会」が発足し、翌年8月に「提携を考えるつどい」第1回を開催。そして、同年10月に「協同組合間提携覚書」が締結され12月25日に「岐阜県協同組合間提携推進協議会」が正式に発足しました。現在は、協議会構成4団体の合計組合員数は840,821名となり、昨年度から1,342名増えました。(重複加入含む)
続いて、日本協同組合連携機構(JCA)の佐藤憲司氏より、「地域の困りごとを解決する協同組合間提携」のテーマで、全国の提携事例の紹介(産消提携、事業連携、地域連携、災害支援など)がありました。
●内田樹氏「地方の人口減少と共同体の再生」講演から
今年の講演は、神戸女学院大学名誉教授の内田樹氏から、「地方の人口減少と共同体の再生」の演題でお話しいただきました。内田さんは、フランス文学者、武道家、翻訳家、思想家、エッセイストと幅広い分野で活動されており、主著は『ためらいの倫理学』『寝ながら学べる構造主義』『レヴィナスの時間論』など多数。小林秀雄賞や新書大賞等も受賞されています。
この日の講演では、日本の「人口問題」は東京一極集中の「人口偏り問題」といえるが、政財界やマスコミでも真正面から人口問題に取り組む動きが見られないこと、資本主義においては一極集中は当然のロジックであり、世界の中でも人口減少局面で一極集中して成功したモデルは韓国くらいであること、そして何より、このことを国民に示して議論しようとしていないことが最大の問題であると述べられました。
また、都市であれ地方であれ、行政サービスを受ける権利は国民に等しくあるにもかかわらず、東京一極化を進めるのは地方の資源を奪うことに他ならないと強調されました。いろいろなシナリオを用意して、リスクヘッジやフェイルセーフの概念も取り入れて議論していくことの重要性を説かれたのが印象的でした。
そして、協同組合に集う私たちに対しては、岐阜という地域の中に「協同」というコミュニティの拠点を作り続けていくことの大切さと期待の言葉をいただきました。
最後に、全岐阜県生協連の根崎会長理事より、本日のまとめの閉会挨拶がありました。佐藤さんと内田さんの講演から、私たちが直面する課題に向き合っていくためのヒントをいただき、背中を押していただけたとの感謝が述べられ、今年の「協同組合を考える集い」を閉会しました。参加者からは、講演に対して大変多くの好評の声があがっていました。
今年も事務局として準備と運営にご尽力いただいたJA岐阜中央会協同活動推進課の皆さまに感謝いたします。
■この日の参加状況
- JA関係 …69名
- 生協関係 …41名
- 酪連関係 … 2名
- 講師 他 … 3名
■全岐阜県生協連からの参加者
- 岐阜県学校生協 …3名
- 岐阜労済生協 … 4名
- 岐阜大学生協 … 3名
- コープぎふ … 19名
- 岐女短生協 … 1名
- 西濃医療生協 … 1名
- 生協アイチョイス岐阜 6名
- 東海ろうきん 1名
- 岐阜県生協連 …3名