活動の報告

マイナンバー保険証を通して平和を考えました。被爆者の願いを継承する岐阜県民の会「第8回運営会議」が開催されました【24.9.2】

2024年8月21日(水)、岐阜市のハートフルスクエアーGにおいて、被爆者の願いを継承する岐阜県民の会「第8回運営会議」が24名の出席で開催されました。
「被爆者の願いを継承する岐阜県民の会」(略称:継承する岐阜県民の会)は、2020年12月に設立されました。核兵器廃絶を目指し、当面の活動として岐阜県の原爆被爆者の証言を記録すること、また全国的な運動の岐阜県における受け皿として活動しています。会員が集まる運営会議を開催し、学習や活動の進捗状況の確認、今後の計画検討をしています。

開会にあたり、代表世話人の安藤征治さん、加田弘子さんから挨拶がありました。

●安藤征治さんのご挨拶から

  • 「被爆者の願いを継承する岐阜県民の会」として、私たちが県民として真に理解しているか、自分の言葉で表現できることが重要であり、自分の言葉で語っていくことを大事にしたい。
  • 誰に向かって引き継いでいくのかという問題がある。まずは家族や近隣の身近な人たちに、次には、若い世代の人たちに、そして、私たちと違った考えの人たちに伝えていくことを大事にしたい。
  • 武力ではなく言葉の力が重要。古の和歌の世界では人を思い遣る言葉のやりとりが大切にされていた。そして、「人」を中心とする日本の考え方をもって、日本が国際社会の中でどのように外交上の役割を果たしていくのかが注目されると思う。

●加田弘子さんのご挨拶から

  • 先日、加茂地区で岐朋会「原爆と人間展」を開催した。猛暑で来場者は多くはなかった中で、掲示した岐朋会第2代会長の加藤昇さんの手記を来場した子どもさんたちが読んで質問してくれた。若い方の中にも、何かを感じとってくれた人がいたように思う。
  • 夏が来るたびに私たちは一つ年を重ねているが、この継承する岐阜県民の会の支えで岐朋会は活動できている。被爆者の願いは一つ「二度と被爆者をつくらないこと」であり、そのために岐朋会は引き続き活動を続けていきたい。これからもご支援をよろしくお願いします。

●木戸季市さんの情勢報告から

  • 被爆、戦後79年を改めて考えるに、日本がこの間戦争をしなかったということはすごいことだといえる。国際紛争は武力ではなく話し合いで解決できることを日本国民は身をもって示してきたといえる。
  • その要因として重要だと考えるのは、日本国憲法の制定であり、そして何といっても核兵器禁止条約の成立。圧倒的多数の人々と多くの締約国が核兵器の廃絶に合意している。国のあり方を決めるのは為政者ではなく国民。政治を動かせるのは私たち一般市民であることを確認したい。
  • 今月末にカザフスタンで開催される「核被害者フォーラム2024」に参加し、核被害者たちが核兵器禁止条約の導入について核被害者同士や関連政府と協議する場で発言してきたい。

●2024年1月~7月の活動状況を確認しました。

事務局を代表して全岐阜県生協連の佐藤さんから2023年度活動(1月~3月)と2024年度(4月~7月)の活動報告等がありました。

(1)被爆の証言の記録の進捗状況
(2)すべての国に核兵器禁止条約の批准を求める署名運動の取組み状況
(3)岐朋会の活動支援の状況
(4)被爆者運動の継承の検討、生協のピースアクションとの連携、通信の発行
(5)2023年度会計報告、会員を増やす取り組み(会員の状況)

●学習「保険医協会の取り組みと、被爆者の願いを継承する岐阜県民の会の活動への思い」(竹田智雄さん)から

今回は、団体会員(岐阜県保険医協会)としても継承する岐阜県民の会に参加されている、全国保険医団体連合会(保団連)の竹田智雄会長に講演していただき学習しました。

❖要旨

  • 全国保険医団体連合会(保団連)は、何時でも・誰でも・何処でも、保険証1枚で本人が望む最善・最新・最高の医療を安心して受けられることを、国民皆保険制度の象徴として実践されています。特徴的な平和活動として、長崎の被爆体験者への被爆者手帳交付運動、反核医師のつどい、九条の会との連携、金融機関への働きかけ、「戦争と医の倫理」の検証を進める会の連続学習会、保団連の開業医宣言などが紹介されました。そして、「平和があってこその医療」が基本だと強調されました。
  • 2024年は平和か戦争かの岐路にあります。2022年の安保3文書の閣議決定で敵基地攻撃能力の保有が明記されました。当然日本国土も戦場化する危機に晒されることになり、すでに沖縄では想定訓練が実施されています。また、2023年度の防衛予算は6.8兆円で前年度比+26%。対して社会保障費は前年度比わずか+1.5%にとどまっています。GDP対比で2%化する費用は向こう5年間で43兆円となります。
  • 今回の岸田政権が自賛する「安保政策大転換」は政治手法として「憲法と立憲主義の破壊」だといえますし、軍事的抑止論の行き着く先は核武装であり、人類存亡の危機につながります。日本国憲法、国連憲章では、武力ではく平和的手段による紛争解決を謳っています。国連憲章に逆行するロシアのウクライナ侵攻等の現状に照らせば憲法9条の先進性が明らかになります。昨今の改憲論議は本末転倒であり時代に逆行するものです。
  • 日本と諸外国を比較すれば、防衛費のGDP対比が高い一方で、労働分配率、一人当たりの実質賃金の伸び、家計消費の伸び、民間企業の設備投資、企業の人材投資等は世界の中でも下位にあります。社会保障給付を賄う税金や借金は増加、教育への公的支出は世界最低水準です(2015年データから)。「所得再分配劣化・破壊」の現状では国民生活は成り立ちようがありません。
  • 1970年代からの医療、社会保障制度の推移では、大企業・富裕層に富の分配が集中しました。2000年以降は新自由主義国家作り、戦争できる国家作りが進んでいます。社会保障制度改革推進法は単なる「給付に見合う給付制度への改変」となっており、貧困と格差の拡大を促進しています。
  • マイナンバー険証に関わるトラブル事例が多発しています。マイナ保険証、保険証廃止には国民70~80%が反対しています。現在の国会運営は、憲法で唱える平和主義・国民主権を蹂躙するものであると言え、医療DX化の目的・狙いは、①医療の標準化即ち安上り医療 ②社会保障個人勘定化による社会保障給付抑制 ③市場開拓、市場拡大。による軍事費予算作りではないかとの大きな疑問が沸き上がりつつあります。このような世論を前進させるために、全国の協会、医師会、保団連は運動しています。
  • マイナンバー保険証制度の現状は、マイナ保険証利用率は、この4月で6.56%、7月には12%に上昇しています。9割超はオンライン資格確認を利用しています。利用しないのに「一時金」で誘導し、その利用率低迷を医療機関に責任転嫁しています。強引なマイナ保険証誘導策に医療現場は混乱し患者との板挟みになっています。
  • 「今の保険証で受診できる」と伝えましょう。12月2日の保険証廃止で大混乱は必至です。「2025年問題」としてマイナンバーカードの有効期限の5年が切れるに際し、更新忘れによる資格無効が多数発生する懸念や顔認証システムへの現場業務の負担増、カード紛失・盗難等のトラブルなど多くの問題発生が予想されます。また、申請制度の運用による保険証廃止は国、保険者の責任と役割の放棄です。保険者の責任で健康保険証が国民に届くことが「国民皆保険制度」の大前提です。今の保険証を残す声を多くの人の参加でひろげたいと考えています。

続いての意見交流では、

・ジェネリック医薬品についてはどのように考えられますか?
・7月に誕生日が来て保険証を更新した時に12月以降は更新しないと記載されていたが今後はどうなるのですか?

・医療機関への国からの指導はどのようなものですか? 私は特に病院で言われたことがありません。
・病院で受診し薬局で先発品希望と言っているが、それでよいですか?
・岐阜市から高額医療関連の書類が届き市役所に電話で問い合せ還付不要と伝えました。
・全国保険医団体連合会の組織の状況について教えてください。入会の要件やメリット・デメリットはありますか?
・非常に尊い活動をされていると思います。受診する医師を選ぶ基準にもなりえるように思います。
・マイナンバーカードにスマホ搭載については、なりすましによる犯罪が増えることを危惧します。
・素晴らしい講演でした。もっと多くの人に聴いてもらいたいです。病院に行くと必ず薬をたくさんくれるが、今日のお話を聴き実態を知ることができました。

などの質問や感想が多く出され、竹田会長から丁寧に回答していだきました。


 閉会後も、竹田先生のお話は大変勉強になったと大好評の声を参加者からお聞きしました。防衛費拡大に使う費用を社会保障や教育に宛てられれば国民にどれほどの利益が齎されるだろうかとつくづく考えさせられました。貴重な問いかけをいただいた竹田先生に感謝申し上げます。

●古川秀昭さんの閉会挨拶から

  • 今日のマイナンバーカードやマイナ保険証のお話をはじめとして、私たちが知らないところで様々なことがどんどん動いていると実感した大変悍ましい話ながら、今日は竹田先生に明るく話していただき、しっかり聴くことができた。
  • 数日前、テレビで天皇が終戦を決意した経過を特集した番組を放映していた。すでに決めていた降伏を延び延びにした間に多くの被害者が出てしまい、第二次世界大戦での日本の死者のおよそ1割は1945年の6月から8月の間に亡くなってしまったという事実がある。1秒でも戦いの時間を短くしないと私たち一人ひとりの命がどんどん消えていくのだという恐ろしさを感じた。
  • そういいながらも、イスラエルだけでなく世界のあちらこちらで戦争が続いている。本当に「今」やめさせなければならない。そのために私たちができることを見つけて、竹田先生のように明るく展開していくようにしたい。今日はありがとうございました。